株式会社Mentor For 代表取締役社長
一般社団法人ビジネス・キャリアメンター協会 代表理事
早稲田大学、大学院で教育学・成人教育の修士号取得。PR会社、教育関連のNPOを経てコンサルティング会社で人材開発に携わる。働きながらINSEAD( Executive Master in Change )で修士号取得。
2014年に(株)MANABICIA創業。2018年、新規事業として組織のDE&Iと女性リーダー育成に特化した社外メンター育成・企業マッチングの事業を開始。先人の知見を共有するメンタリングの手法を確立。育成した社外メンターを、大企業を中心に、様々な業界・企業のリーダーにマッチングしている。ワンオペ育児、ドイツと日本の2拠点生活を経て、現在は日本で事業を拡大中。2021年に社名を(株)Mentor Forに変更。一般社団法人ビジネス・キャリアメンター協会を設立し、キャリアメンターの育成を強化。
その他:EYアクセラレータープログラム 第4期採択(2022)東京都APTWoman 5期生採択 (2021),「第8回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」ファイナリスト選出、東京都 都知事賞「女性パワー翔き賞」受賞(2020),「第5回女性起業チャレンジ制度」グランプリ受賞(2019)ワーママ・オブ・ザ・イヤー受賞(2018)等
貴社は女性活躍社会の実現を目指して、女性リーダー候補のキャリア支援をするメンタープログラムに力を入れておられますが、どういうことをきっかけに、事業をスタートされたのですか?
従来のコーチングよりも、ロールモデル的存在が具体的にアドバイスも行うことがメンタリングです。女性のキャリア支援をするうえで、私自身、具体的なアドバイスも提供でき、ロールモデルになるような存在が欲しいが、いまはまだ世の中にないと思い、数年前からスタートしました。
女性は結婚・出産など、ライフイベントの状況がキャリアに与える影響が男性に比べて複雑で、同じ職場に先輩となるようなロールモデルが少ないことが多い。そして、男性のいわゆる、オールド・ボーイズ・ネットワークのようなつながりも薄い。このため、マネジャーや経営幹部を目指す動機づけや支援が、社内からだけでは難しいというのが現実です。当社には、そういった苦労した経験を有し、メンターとなる人材が多く在籍しています。中には大手企業の役員経験者や官庁出身者、起業家など、本当に多彩なキャリアの女性・男性メンターがおり、さまざまな状況の方へのご支援が可能です。
なるほど。まさに、いまの時代に必要とされている事業だと思います。今後、女性活躍社会の実現に向けて、どのような取り組みが重要だと思いますか?
良く、女性活躍というと、ゲタをはかせているという批判もあると承知しておりますが、今の社会は、いわばリンゴの木に例えると、その木が男性側に傾いている、男性の方がリンゴの実を取りやすい状況だと思います。その中でフェアな機会を提供するには、女性側に少し、リンゴの実を取りやすくするハシゴをかけること、だと思います。これはゲタという意味ではなく、手が届く位置を揃えている・フェアな機会を提供することです。その先にある、性別関係なく活躍できる風土創りを目指すために必要な措置ではないかと思います。
また、当社は女性だけでなく、男性のクライアントも支援もしています。多くの男性も仕事と育児とのバランスなどのキャリア形成悩んでいますし、女性以上に、パーソナルなことを話す相談相手が組織内にいないことは少なくありません。男性に対する支援も、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを実現する上で大変重要だと感じています。
大変重要ですね。こういった取り組みを加速していくために、行政などの公的機関に対して期待するところはありますか?
公的機関でも、組織運営における悩み自体は、民間企業と基本的に問題意識は同じだと思います。
数か月前にある地方自治体の市長の方などと一緒にシンポジウムをしたのですが、例えば、様々な境遇の方を広く支援するなど、民間ベースではできないことを実行できることが行政の強みだと思います。また、行政ではないですが、銀行の地方支店と協力して、地域の中小企業の方々向けにダイバーシティに関する研修を提供したことがあり、大変好評でした。弊社のサービスは、まだまだ大手企業向けが中心なので、より多様な企業に対して支援の輪を提供していくには、例えば行政の皆様と組んでいくことは、社会的に価値があるのではないか、と思います。
その通りですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
インタビューを終えて
女性起業家として数多くの企業クライアントを抱え、自らも幼稚園のお子さんを子育しながら、仕事と両立してリーダーとして積極的に発信をされている池原さん。全国商工会議所の女性起業家大賞で優秀賞を受賞されるなどすでに素晴らしい実績がありますが、肩ひじはらずに自然体な雰囲気の素晴らしい方で、そのビジョンには強く共感しました。
ダイバーシティ&インクルージョンは、社会的に正しいからするべきであると同時に、組織をより強く、クリエイティブにしていく上でも大変重要です。まさに、これからの行政に求められている取り組みです。私が区長に就任したあかつきには、多様な人材の活力を取り入れることで、品川区をさらに素晴らしいものにできればと、思いを新たにしました。